NDフィルターは「サングラスのように光を減らす」役割を持ち、風景撮影の長秒露光や動画撮影の露出コントロールに欠かせない存在です。
しかし種類が多く、どれを選べば良いか迷う方も多いはず。ここでは 風景用/動画用/CPL一体型 に分けて、おすすめの製品を紹介します。
より詳しい原理や使い方はNDフィルター基礎ガイドにまとめていますので、初めての方はぜひ参考にしてください。
NDフィルターを選ぶときの注意点
NDフィルターは種類が多く、製品ごとに光量カットの強さやコーティング性能、描写のクセが大きく異なります。価格だけで選んでしまうと「ゴーストが盛大に出る」「色かぶりが強い」といった失敗につながることも。
購入前に以下のポイントを確認しておきましょう。
▪️光量カットの強さ(ND値)
ND8(約3段分)〜ND1000(約10段分)まで幅広く存在します。
風景の長秒露光ならND32〜ND1000、動画ではND8〜ND32あたりが実用的です。
▪️色かぶりの有無
安価なフィルターは光学性能が低く、グリーンやマゼンタに転びやすい傾向があります。色味が不自然になるとレタッチでも補正しきれないことがあるため要注意。
▪️ゴーストの発生
コーティングが不十分な製品では逆光時にゴーストやフレアが出やすくなります。多層コーティングの有無を確認すると安心です。
▪️ムラや画質劣化
特に可変NDでは、濃度を上げた際に画面に「X状のムラ」が出ることがあります。描写力の低下や解像感の喪失も要チェックポイントです。
おすすめNDフィルター9選
撮影シーン・用途ごとに、コスパ、使いやすさや画質の劣化具合も考慮したオススメのNDフィルターをご紹介します。参考価格はフィルターサイズ77mmのものを表記しています。
安いものだとゴースト・フレアが盛大に出たり、画質の劣化に繋がるので注意です!
風景撮影におすすめのNDフィルター
風景撮影でNDフィルターを使うと、滝や川の流れをシルクのように描いたり、雲をダイナミックに流すなど、肉眼では見られない表現が可能になります。昼間でも数十秒のシャッタースピードを確保できるため、作品の世界観を大きく広げてくれるアイテムです。
撮影の用途によって、どの濃度(ND値)を選ぶかを決めましょう。
ND値 | 減光量 | 主な用途 |
---|---|---|
ND2 | 1段分 | 軽い露光調整 |
ND4 | 2段分 | 日中ポートレート |
ND8 | 3段分 | 滝や川の流れを表現 |
ND16 | 4段分 | 雲や水流をなめらかに |
ND64 | 6段分 | 明るい海や昼間の長秒露光 |
ND1000 | 10段 | 真昼の長秒露光(数分〜) |
Kenko PRO ND
価格:4300円(ND8の場合)
特殊な多層膜コーティングを施した高精度ガラスにより、逆光シーンでもゴーストやフレアをしっかり抑制できるのが特徴です。可視光域での色かぶりも少なく、自然な発色で安心して使えるシリーズ。
ラインナップは ND2・ND4・ND8・ND1000 と少なめですが、花火や滝などNDフィルターが必要になるシーンをしっかりカバー。真昼の極端な露光コントロールまで用途ごとに選べます。複数を組み合わせて濃度を調整することもできるため、撮影シーンに応じた柔軟な対応が可能です。
価格はハイエンドメーカーよりも抑えめながら、性能面では十分実用的。コストパフォーマンスの高さから、初めてNDフィルターを導入する方にも、中級者が用途に合わせて複数枚揃える場合にもおすすめできるシリーズです。
Kenko NDフィルター PRO1D Lotus
価格:7000円 (ND8の場合)
撥水コーティングによって水滴をはじきやすく、滝や川など水辺での長秒露光に強いのが特徴です。指紋や汚れも拭き取りやすく、屋外撮影での取り回しの良さも魅力。
ラインナップはND4・ND8・ND16・ND32・ND64と実用的な濃度が揃っており、風景撮影に必要なシーンをしっかりカバーしてくれます。
高品質ながら価格は抑えめで、性能と価格のバランスが非常に優秀。コストパフォーマンスに優れた一本として、初心者から中級者まで安心しておすすめできるNDフィルターです。
H&Y NDフィルター EVO フィルターキット
価格:9500円 (ND8の場合)
ニュートラルなNDコートを採用。カラーシフト(色転び)がほとんどなく、自然な色味で安心して使えるのが魅力です。
さらに低反射ナノコーティングにより、逆光や強い光源が入りやすいシーンでもフレアやゴーストをしっかり抑制。風景撮影の長秒露光や作品撮りに安心して使えます。
またマグネット式のため、重ね付けや他のフィルターとの付け替えが素早く可能。現場で「ND8にND1000を追加」「NDからCPLへ」といった切り替えもスムーズに行えるので、荷物を減らしたい撮影旅行にも最適です。
濃度は ND4・ND8・ND16・ND32・ND64・ND1000 の6種類が用意されており、日中ポートレートから真昼の長秒露光まで幅広い用途に対応可能です。
動画撮影におすすめの可変NDフィルター
動画の基本である「シャッタースピードをフレームレートの倍に固定する」というルールから、日中はどうしても露出オーバーになりがち。そのためND8〜ND32程度をカバーできる可変NDが1枚あると安心です。
F値を開放にして背景をぼかしたいときにも必須のアイテムですが、可変NDは構造上、濃度の切り替え域でムラやX状の影が出やすいという弱点もあります。特に広角レンズや特定の焦点距離では顕著になるため、状況によっては固定NDフィルターの方が安定した画質を得られる場面もあります。
K&F CONCEPT 可変NDフィルター ND2-ND400
価格:5500円
1枚でND2からND400相当まで幅広く減光できる可変NDフィルターです。シーンに合わせて濃度を自在に調整できるため、日中の動画撮影や光量の変化が激しい屋外撮影に便利です。
多層コーティングにより、可変NDで起こりやすい色かぶりやX状のムラを抑制。薄型設計で広角レンズ使用時のケラレも軽減されています。回転リングには目盛りがあり、直感的に濃度をコントロールできる操作性も魅力です。
価格は手ごろながら、実用性と性能のバランスが良いモデル。これ1枚で複数の固定NDを揃える必要がなく、風景の長秒露光から動画撮影まで幅広い用途をカバーできるコストパフォーマンスの高い可変NDフィルターです。
NiSi 可変NDフィルター TRUE COLOR VARIO 1-5stops (ND2~32)
価格:25000円
1〜5ストップ(ND2〜ND32)の範囲で減光量を調整できる可変NDフィルターです。1枚で最大5段分をカバーできるため、屋外動画撮影やスチル撮影での露光コントロールに幅広く対応します。
可変NDで課題となりやすい「X状のムラ」が出ないような設計。さらに従来の可変NDで目立ちやすかった黄色かぶりを解消し、マスターレンズそのままの色再現性を実現しています。
また、ナノARコーティングによりゴーストやフレアを抑え、解像感の高いクリアな描写を実現。加えて撥水・防汚コーティングが施されており、水滴や指紋もサッと拭き取れる実用性の高さも魅力です。
価格はやや高めですが、そのぶん色再現性と画質面での安心感は抜群。動画撮影を本格的に取り組みたい人にとって、信頼できる一本といえる可変NDフィルターです。
H&Y 可変NDフィルター REVORING Variable ND3-1000 58-77mm
価格:30000円
1枚でND3〜ND1000相当(約1.5〜10段分)の減光が可能な可変NDフィルターです。可変式ならではの幅広い減光域を備えており、動画撮影だけでなく、風景の長秒露光まで幅広く対応できます。
最大の特徴は「REVORING」と呼ばれる独自の可変ステップアップリングを採用している点。58mm〜77mmまでの複数のレンズ径に対応できるため、レンズごとにフィルターを買い揃える必要がなく、この1枚で効率的に運用できます。
さらに多層コーティングにより、逆光時のゴーストやフレアを抑制。撥水・防汚性能も備えており、屋外での使用でも安心です。可動域にはストッパーを設け、可変NDで起こりやすいX状のムラが発生しにくい設計もポイントです。
複数レンズを使い分けるフォトグラファーや、動画・静止画の両方でNDを活用したい方にとって、携行性と実用性を兼ね備えたハイエンド可変NDフィルターといえます。
CPL一体型のハイブリッドタイプ
反射を抑えるCPLと光量調整のNDを一枚で済ませられるタイプ。特に渓谷内の滝撮影など荷物を減らしたいシーンでは使いやすい複合タイプのNDフィルターです。
こちらも濃度の切り替え域でムラやX状の影が出やすいという弱点があるのでシーンによっては固定NDフィルターを使うようにしましょう。
K&F CONCEPT 可変NDフィルター ND2-ND32&CPL TRUE COLOR
価格:14000円
可変ND2-32とCPLを1枚に集約した2in1フィルターです。光量調整と反射除去を同時に行えるため、荷物を減らしながら動画・静止画の両方に対応できます。
最新のチタンコーティング技術によって、従来の可変NDで起こりやすかった黄色かぶりを効果的に解消。本来の色味をそのまま再現できるため、動画撮影でも自然な映像を得られます。さらにCPL効果により水面やガラスの反射を抑え、空や緑をより鮮やかに描写可能。
光学ガラスには両面28層の多層コーティングが施されており、反射防止に加えて撥水・撥油性能も備えています。水滴や指紋がついても簡単に拭き取れるため、屋外撮影でも安心です。着脱しやすいローレット加工や、持ち運びに便利な専用ケースも付属しています。
KANI 可変NDフィルター ND2-64+CPL
価格:14000円
可変ND(ND2〜ND64)とCPLを一枚にまとめた2in1フィルターです。約1〜6段分の減光幅をカバーし、動画撮影や日中の光量調整に幅広く対応できます。
偏光機能により水面やガラスの反射を抑え、空や緑をより鮮やかに表現可能。さらに多層コーティングでゴーストやフレアを抑制し、撥水・防汚性能により屋外撮影でも安心して使えます。
これ1枚で光量調整と反射除去を同時に行えるため、荷物を減らしながら効率的に撮影できるのが大きな魅力。風景から動画まで、オールラウンドに活躍できるCPL一体型フィルターです。
同じCPL一体型の K&F CONCEPT ND2-32 + CPLに比べ、ND64まで対応できるのがKANIの強み。強い日差しの中でもしっかり減光したいかどうかで、どちらを選ぶか決めると良いでしょう。
H&Y 可変NDフィルター PLフィルター REVORING バリアブル ND3-1000+CPL MarkII
価格:39000円
可変ND(ND3〜ND1000相当)とCPLを1枚に集約したハイエンドモデルです。1.5〜10段分の減光が可能で、動画撮影から風景の長秒露光まで幅広く対応できます。
最大の特徴は、独自の「REVORING」機構により58mm〜77mmといった複数のレンズ径に対応できること。レンズごとにフィルターを買い揃える必要がなく、この1枚で効率的に運用できます。
さらにロック機構を搭載し、撮影中の設定ズレを防止。撥水・防汚コーティングや低反射コーティングによって、ゴーストやフレアを抑えながらクリアな描写を実現します。
複数レンズを使い分けるフォトグラファーや、動画と静止画の両方でNDとCPLを活用したい方に最適な、利便性と高画質を兼ね備えたフィルターです。
予算別おすすめまとめ
モデル | 価格 | 特徴 | おすすめ対象 | 購入リンク |
---|---|---|---|---|
Kenko PRO ND | 約4,300円 | 逆光でもゴーストやフレアを抑制。自然な発色で安心。ND2〜ND1000までラインナップ。 | 初めてNDを導入する人、中級者が複数揃える場合にもおすすめ | 購入はこちら |
Kenko PRO1D Lotus | 約7,000円 | 撥水コーティングで水辺の撮影に強い。ND4〜ND64の実用濃度をラインナップ。 | 滝や川など水辺の長秒露光を楽しみたい人 | 購入はこちら |
H&Y NDフィルター EVO | 約9,500円 | ニュートラルなNDコートで色転びなし。マグネット式で切替えもスムーズ。ND4〜ND1000まで6種類。 | 風景撮影を本格的に楽しみたい人、撮影旅行で荷物を減らしたい人 | 購入はこちら |
K&F CONCEPT 可変ND ND2-400 | 約5,500円 | ND2〜ND400まで幅広く調整可能。多層コートで色かぶりやXムラを抑制。 | コスパ重視で動画も風景も1枚で済ませたい人 | 購入はこちら |
NiSi 可変ND TRUE COLOR VARIO | 約25,000円 | ND2〜ND32対応。黄色かぶりを解消するTrue Color技術。X状ムラなし設計。 | 動画撮影を本格的に行いたい人、色再現性を重視する人 | 購入はこちら |
H&Y REVORING ND3-1000 | 約30,000円 | ND3〜ND1000対応。REVORINGで58〜77mm対応。撥水・防汚コート付き。 | 複数レンズ径を使い分ける人、静止画と動画両方で活用したい人 | 購入はこちら |
K&F CONCEPT ND2-32 + CPL TRUE COLOR | 約14,000円 | 可変ND2-32とCPLを一体化。黄色かぶり解消。28層コートで撥水・防汚性能あり。 | 荷物を減らしたい動画・風景撮影者 | 購入はこちら |
KANI 可変ND ND2-64 + CPL | 約14,000円 | 可変ND2-64とCPLを一体化。ND64まで対応でき強い日差しにも安心。 | ND32かND64まで必要かどうかでK&Fと選び分けたい人 | 購入はこちら |
H&Y REVORING ND3-1000 + CPL Mark II | 約39,000円 | ND3〜ND1000とCPLを1枚に集約。REVORINGで58〜77mm対応。ロック機構付き。 | 利便性と高画質を両立させたいハイエンド志向の人 | 購入はこちら |
まとめ
NDフィルターは風景の長秒露光、動画撮影、CPLとの一体利用などシーンごとに最適な選択肢があります。
初めての方はまず 固定ND1枚+動画用可変ND を揃えておくと安心です。
詳しい使い方や作例は以下の基礎記事で解説していますので、あわせてチェックしてみてください。
これはCTAサンプルです。
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