「オートやSモードでは物足りない」
「自分のイメージ通りに写真をコントロールしたい」
「そろそろ初心者を卒業して、次のレベルに進みたい」
そんなあなたに必要なのが Mモード(マニュアルモード) です。
Mモードでは、シャッタースピード・絞り・ISOをすべて自分で決めることで、写真の仕上がりを完全にコントロールできます。
この記事では、
Mモードの基本と露出のルール
操作ステップとシーン別設定例
初心者が陥りやすい失敗と解決策
をまとめて解説します。
読み終わる頃には「カメラ任せ」から卒業し、中級者への第一歩 を踏み出せますよ!
Mモードとは?

Mモードは、カメラの露出設定を 自分で完全にコントロールできる撮影モード です。
オートやSモードのように「カメラが残りを調整してくれる」ことはなく、三要素のバランスを自分で組み立てます。
シャッタースピード … 動きを止める/流す
絞り(F値) … 背景をぼかす/全体にピントを合わせる
ISO感度 … 明るさを補う/ノイズとのバランス
仕上がりをイメージしやすいように、それぞれの役割を覚えておきましょう!
明るさを決める考え方:露出のルール
まずは露出のルールを把握しましょう。ここが理解できていないと、自分で露出のコントロールができません。
1段(=1ストップ)とは?
段とは明るさが2倍もしくは半分になる刻みのことです。
シャッタースピードとISO:数字が2倍or1/2倍ごとに1段
F値(絞り):F値は下記のように1.4倍ごとに1段
f/1 → 1.4 → 2 → 2.8 → 4 → 5.6 → 8 → 11 → 16 → 22

この並びを覚えておけば「1段明るい/暗い」が分かります。
また、1段も3段階に分かれています。
ISOはダイアルを回すごとに、
100⇨125⇨160⇨200と動きます。これを段数で言うと、1/3段、2/3段、3/3段(=1段)となります。
等価露出(明るさを打ち消すルール)
適正露出の状態で、1つを動かしたら残りを逆に同じ段数動かすと明るさは変わりません。
1/250秒・f/4・ISO100からシャッタースピードを1/500秒にしたい場合を考えてみましょう。
1/250→1/500で1段暗くなるので、F値とISOで1段分明るくする
①1/500・f/2.8・ISO100 (F値を1段明るくする)
②1/500・f/4 ISO200 (ISOを1段明るくする)
③1/500 f4.5 ISO160 (F値を1/3段、ISOを2/3段明るくする)
基本的にダイアルを1クリック動かすと1/3段変わります(F値ならF1.8⇨F2)。
この場合は、シャッタースピードかISOを1クリック分逆方向に動かすと1/3段変わって、露出は維持されます。
数字で見ると難しいですが、ダイアルを動かした回数分、他の項目で同じ回数ダイアルを回せばOKです!
Mモードの基本操作ステップ
露出のルールを知ったところで、基本的な操作方法をお伝えします。
- モードダイヤルを「M」に合わせる
- 仮でISOは下限に合わせる(ISO100など)
- ボケを優先⇨F値を先に決める。
ブレを優先⇨シャッタースピードを先に決める - ③のもう片方で適正露出になるように調整する
- 適正露出にならない場合は、3つの項目を少しずつ妥協していくイメージで調整(ISOは優先的に妥協してOK)
基本的には、上記のように、表現したいイメージ合わせて絞りかシャッタースピードを優先的に決めてしまいましょう!
適正露出は、露出計が±0になるように、かつヒストグラムもしっかり確認して決めていきましょう。
シーン別おすすめ設定例
実際の撮影シーンを想定して、おおよそのF値やシャッタースピードの基準を知っておきましょう!実践の場で焦らなくて良くなります。
①人物・ポートレート
<F値を優先して変更>
▪️絞り開放〜2/3段程度絞る
▪️1/250秒以上
▪️ ISO100〜800
🔸ボケを意識するなら開放付近に設定しておきましょう。
🔸背景も作品に取り込みたいなら、F4程度まで絞ってシャッタースピード⇨ISOの順で露出を調整していきます。
🔸ブレ防止のため、小さな子どもは1/250秒くらいが目安。動かない大人なら手ブレ防止できる程度でOK(1/焦点距離)
スポーツ・動物
<シャッタースピードを優先して変更する>
▪️F4〜5.6
▪️1/1000〜2000秒
▪️ ISO800〜3200
🔸被写体ブレを抑えるため、シャッタースピードを優先しましょう!野鳥の飛翔シーンになると1/2500〜1/4000秒くらい確保しておく必要があります。
🔸速くなる分、ISOが上がってしまいますが、写真編集ソフトでノイズは除去できるの気にしなくてもOKです!
🔸F値は1.8など明るいのが理想ですが、野鳥やスポーツ撮影時は望遠レンズを使うことが多く、開放F値が小さいレンズは高価なので注意。
風景
<F値を優先して変更する>
▪️F8-11
▪️1/50〜1/8000秒
▪️ ISO100
🔸風景は手前から奥までピントを合わせるので、F値を優先的に変更しましょう!
🔸F16や22など絞りすぎると回折現象により、解像感が薄れてソフトな描写になるので注意。
🔸基本的に日中であれば、ISOは100固定で、シャッタースピードで適正露出にするイメージでOK!暗い場所ならISOも上げて露出を調整しましょう。
夜景
<F値を優先して変更>
▪️F8〜11
▪️1〜5秒
▪️ ISO100
🔸夜景は風景と同じ考え方が基本です。まずはF値を優先しましょう。
🔸三脚を使用する場合は、手ブレを気にしなくて良いため、ISO100固定でシャッタースピードで明るくしましょう!(大体1-10秒くらいになる)
🔸手持ちの場合は、手ブレ防止のため、シャッタースピード⇨ISOの順で露出を合わせましょう!
星空
<3項目をバランスよく設定>
▪️F1.8〜2.8
▪️15秒程度
▪️ ISO3200〜6400
🔸星空を撮影するときは最低でも開放F2.8のレンズがおすすめ!
🔸シャッタースピードは遅すぎると星がブレてしまうため、15秒程度が基本です(レンズの焦点距離によって変わります)
🔸ISOは上げすぎると編集ソフトでもノイズ除去が効きづらくなるため、6400までにしておきましょう!(そのため明るめのレンズが必須)
Mモード初心者が陥りやすい失敗と解決策
理屈やシーンごとの目安が分かっても、いざ挑戦してみると上手く行かないかもしれません。よくある失敗例を参考に対処してみてください。
1. ISOを下げようとしてブレ写真を量産
▪️失敗例:ノイズが気になるので、シャッタースピードを遅くしてしまう⇨ブレ写真ができる
▪️解決策:ISOを上げて表現を守り、ノイズは後処理で調整
ノイズは後からどうにでもなるので、表現に繋がる絞りとシャッタースピードを優先しましょう!ノイズは除去できても、ボケやブレは後から修正できません。
2. 露出の判断を間違えて、白飛びor黒潰れ写真に
▪️失敗例:液晶画面の明るさで判断した結果、暗い写真や白飛び写真ができる。
▪️解決策:露出計とヒストグラムを必ず確認
液晶画面だけでは適正な露出は判断できません。必ず露出計が±0になっているか、ヒストグラムが左右に張り付いてないかをチェックしましょう。
3. 全部を一度に変えてパニック
▪️失敗例:原因が分からなくなる
▪️解決策:表現に合わせて絞りかシャッタースピードを変更、ISOは最後の調整役。
まとめ
✅Mモードは三要素をすべて自分で決める撮影モード
✅明るさは「段」で考える。1つ動かしたら残りで逆に調整
✅F値の並び(f/1 → 1.4 → 2 → 2.8 …)を覚えると便利
✅被写体に合わせて優先すべき項目を決め、ISOは最後に調整
✅ノイズは後処理可能、ブレや被写界深度は表現優先
「段で考える」「順番を固定する」だけでMモードはぐっと簡単になります。
あなたもオートを卒業し、初心者から中級者へステップアップ しましょう!