せっかく超広角レンズを買ったのに
「広いだけで迫力が出ない」
「建築を撮ったら歪んでしまった」
「旅行で使ったらスカスカの写真になった」
──そんな悩みを感じていませんか?
この記事では、超広角レンズの特徴やメリット、よくある失敗とその解決方法を具体的に紹介します。さらに構図や撮影テクニックまで解説するので、これまで「難しい」と感じていた超広角撮影がぐっと楽しくなります。
読み終える頃には、ただ広いだけの写真ではなく「迫力ある風景」「歪みを味方につけた建築写真」「旅行で感動を残せる一枚」を撮れるようになるはずです。
超広角レンズとは何か
超広角レンズとは、一般的にフルサイズ換算で24mmよりも短い焦点距離を指します。特に16mmや14mmといった画角は、人の目では見えない範囲まで写し込めるのが大きな特徴です。
風景や建築をダイナミックに切り取れる一方で、「歪みが強い」「構図が難しい」といった悩みも多く、扱いが独特なレンズともいえます。
超広角レンズの特徴とメリット

超広角レンズの最も大きな特徴は パースペクティブ(遠近感)の強調 です。
手前の被写体を大きく、奥の被写体を小さく写し込むことで、肉眼以上の奥行きや広がりを演出できます。これにより「自分がその場に立っているような臨場感」が得られるのは、超広角ならではの魅力です。
▪️広い範囲を一枚に収められる
→旅行先の絶景や建築物を迫力たっぷりに記録できます。
▪️被写界深度が深い
→パンフォーカスにしやすく、手前から奥までシャープに写せる。
その一方、背景を大きくボカすのは難しい
「前景を大胆に入れる構図」で迫力を出すのが超広角撮影のコツです!
超広角レンズは何ミリを選ぶべきか
ミラーレス用の超広角レンズには14mm、16mm、20mmなど多彩な選択肢があります。
超広角になるほど、1mmの違いが画角や印象を大きく左右します。

「何ミリを選ぶか」は撮影ジャンルで決めるのが失敗しないポイントです。
12mm→特殊用途寄り。非日常的な広がりを表現したいときや、室内でとにかく引きたい場面に有効。
14mm→前景を活かしたダイナミックな構図
16mm→建築や室内、空や太陽も構図に入れた風景。
20mm→街スナップや旅行記録など「広角っぽさは欲しいけど自然に写したい」シーン
まずは14-24mmや16-35mmなどのズームレンズを使ってみるのがオススメです!
超広角レンズの構図と撮影テクニック
超広角撮影で迫力を出すには、構図の工夫が不可欠です。作例を見ながら解説します。
前景・中景・背景の三層構成
超広角でありがちなのが「ただ広く撮っただけの記録写真」になること。これを避けるには三層構成を意識するのが有効です。
手前に花や石畳、草木などの前景を入れると、自然と奥へと視線が流れます。中景・背景に山や空を配置すれば、広がりと奥行きのある一枚になります。

リーディングライン(視線誘導)を使う
道・川・柵・建築の直線など、画面を奥へと導くラインを取り入れると、奥行き感と立体感が出ます。その結果、よくある「ただ広いだけの写真」から脱却できるようになります。


超広角特有のパースを効かせた構図
超広角レンズ特有の パースペクティブ(遠近感)を活かすとカッコよく撮ることができます。近くのものは大きく、遠いものは小さくなり、遠近感によりダイナミックな表現が可能になります。

パースを効かせるコツ
超広角レンズならではのパースを活かすには、いくつか意識したいポイントがあります。コツを押さえることで、同じ場所でもグッと迫力や奥行きのある写真に仕上がります。
▪️被写体に思い切り寄る
超広角は「近いものを大きく、遠いものを小さく」誇張する特徴があります。前景となる花や石畳、人物に極端に寄ることで、奥行きが一気に強調されます。

▪️低いアングルから見上げる
建築や木々を下から撮ると、垂直方向のパースが強く働きます。高層ビルや鳥居、並木道などで「迫ってくるようなスケール感」を表現できます。

▪️ラインを画面に引き込む
道路・川・フェンスなど、奥へ続くラインをフレームの手前から奥まで走らせると、パースの効果が最大化します。視線誘導と遠近感の両方を一度に演出できます。
画面端に要素を置く
端に配置した被写体は引き伸ばされるため、意図的に活用するとダイナミックな表現になります。たとえば両端に並木を入れて奥行きを強調するなど。

▪️メインの被写体や人物は4隅に置かない
超広角レンズでは、4隅に置かれたものは大きく引き伸ばされて不自然に見えることがあります。意図する場合を除き、特にポートレートでは人物を中央あたりに配置した方が自然な描写になります。
歪みを恐れず「誇張表現」として使えば、独特の臨場感が出ます。
フィルターワークでさらに広がる表現
超広角レンズには前玉が大きく張り出した“出目金タイプ”が多く、通常の丸型フィルターを取り付けられない場合があります。そんなときに活躍するのが角形フィルターです。
角形フィルターを使えば、NDフィルターで滝の流れをなめらかにしたり、GNDフィルターで明暗差の大きいマジックアワーの空と地上をバランスよく表現することが可能になります。
丸型では難しい超広角ならではのフィルターワークを実現できるので、表現の幅が一気に広がります。
👉 角形フィルターの仕組みや使い方は、こちらの記事で詳しく解説しています(後日投稿予定)

前景が真っ暗にならないよう、GNDフィルター(ハーフNDフィルター)で太陽の明るさを落としています。出目金タイプのレンズでは角形フィルターが必須。
まとめ|超広角は難しいけど面白い
超広角レンズは「歪みが強い」「構図が難しい」と敬遠されがち。ですが、特徴を理解すれば迫力と臨場感を表現できる唯一無二の存在です。
✅被写界深度が深いので奥までシャープに写せる
✅前景・中景・背景で構図を作る
✅リーディングラインを意識した構図
✅パースペクティブを活用する
使いこなせば、旅行の風景、建築の迫力、街中スナップまで幅広く活躍します!