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角型フィルターを使ったフィルターワーク|ND・GNDで写真表現を変える【H&Y Filter】

風景写真の仕上がりをもう一段上げたい。
そう感じ始めたら、意識したいのが「光のコントロール」です。

空が明るすぎる、地上が暗すぎる──。
そんな露出差を自然に整え、見た目以上の世界を描けるようになるのが、角型フィルター

GNDで光を整え、NDで時間を描く。
この2つを組み合わせることで、写真は“記録”から“表現”へと変わります。

この記事では、角型フィルターを使う3つの主な理由と、H&Y Filterを使ったおすすめの構成を紹介します。

角型フィルターを使う理由

角型フィルターは「見たまま」を超えて、光と時間を自分でデザインするための道具です。
円形NDとは違い、光の位置やバランスをコントロールできる点に大きな特徴があります。

① GNDフィルターで明暗差を整える

角型を導入する最大の理由は、GND(グラデーションND)を使えること。
風景撮影では、空と地上で露出差が大きくなりがちで、
そのまま撮ると空が白飛びしたり、地上が暗く沈んでしまいます。

GNDフィルターは、上半分だけを減光することで空の明るさを抑え、
地上のディテールを自然に保つことができます。

GNDフィルターの図解。

Before imageAfter image
同じ露出でも、GNDフィルターをつけるだけで空も地面もしっかりと写せます。GNDなしで地面に露出を合わせると左のように空が真っ白に。

作例:

京丹後の夕焼け。GNDフィルターを使って、空の明るさを抑えている
太陽の明るさをGNDフィルターで抑えて、前景が真っ暗にならないようにしています。

▪️減光位置を上下に調整できるのは角型だけ

▪️光の向きや構図に合わせた“部分的なコントロール”が可能

にゃんころ

角型フィルターは、光を描くための第一歩。
NDでは表現できない“自然な光の階調”を作り出せます

② ND+GNDで「光と時間」を同時に操る

円形NDフィルターも手軽で便利ですが、角型NDを選ぶ最大の理由は、GNDフィルターと組み合わせて使えること。
角型なら、GNDで空の明るさを整えつつ、NDで水や雲の動きを滑らかに描くなど、
“動きのある光”と“静けさ”を両立させた表現が可能になります。

作例:

水面に浮かぶ都市を早朝のマジックアワーと絡めた写真です。GNDフィルターで朝焼けの明るさを抑え、NDフィルターを使い70秒のシャッタースピードで撮影しています。これにより水面がフラットになりリフレクションの強調と静けさがプラスされます。

▪️ND:時間を演出(動きを描く)

▪️GND:光を整理(明暗差を整える)

▪️2枚を組み合わせることで“静と動”を共存させた風景に

にゃんころ

NDだけでは得られない“完成度の高い風景写真”を撮るなら、GNDとの併用が鍵です。

③ 出目金の超広角レンズにも対応できる

もう一つのメリットは、出目金タイプの超広角レンズにも対応できること
円形フィルターが装着できないレンズでも、角型フィルターなら専用ホルダーを使ってNDやGNDを自由に使えます。

作例:

超広角14mmで撮影した夕焼け。出目金タイプなので通常のフィルターは装着不可。角形のGNDフィルターを使って明暗差を調整しています。

▪️出目金レンズ(例:FE 14mm F1.8 GM)でもホルダー装着が可能

▪️角型ならレンズ交換後もフィルターを使い回せる

おすすめの角型フィルター構成 (H&Y Filter)

ここまで紹介した撮影をするには、以下4点のアイテムが必要です。私が実際に使っているH&Y Filterというメーカーが非常に使いやすいため、こちらをご紹介します。

H&Y Filterをチェックする公式サイトはこちら

①フィルターホルダー
②アダプターリング
③GNDフィルター
④NDフィルター

①フィルターホルダー

▪️100mm K-Series フィルターホルダー Mark II

GNDフィルターは直接レンズに付けられないため、専用のホルダーが必要です。

基本は100mmサイズのホルダーであれば大丈夫ですが、一部の超広角レンズでは150mmサイズ用のホルダーが必要になります。

詳しくはこちら⇨フィルターやホルダーの選び方のポイント解説

②アダプターリング

ホルダーをレンズに取り付けるには、アダプターリングを介する必要があります。上記のK-series Mark IIを選べば67-82mm径のアダプターリングが付属しているので別途購入する必要はありません。

ただし、一部の出目金タイプは専用のアダプターリングが必要です。

角形ホルダーのアダプターリングの写真。H&Y Filter製

③GNDフィルター

用途によって、選ぶフィルターが異なります。ゴリラガラスという特殊な素材で作られていて、落としても割れにくいのが特徴。他メーカーのものだと簡単に割れてしまいます。

▪️水平線付近の太陽の明るさを抑えたい⇨リバースGND1.2

▪️空の明るさを抑えたい(水平線以外)⇨ソフトGND0.9もしくはミディアムGND0.9

④NDフィルター

表現方法によって、選ぶべきND濃度が異なります。

詳しくはこちらの記事で解説しています⇨シーン別の濃度の選び方

おすすめはND1000です。雲の流れや、水面をフラットにするには30秒以上の露光時間が必要になります。

ND8も追加すると、さらに長時間露光が可能になり、雲にダイナミックな動きをつけることができます。

にゃんころ

H&Y Filterは操作性と描写性能のバランスが高く、初めての角型システムとしても扱いやすいシリーズです!

H&Y 角形フィルターの使い方

H&Y Filterのシステムは、マグネットで着脱できる角型フィルター構造です。
セットアップはシンプルで、初心者でもすぐに使いこなせます。

使い方の流れ

  1. アダプターリングをレンズに装着
  2. ホルダーをマグネットで取り付け
  3. NDやGNDフィルターをスライドで差し込む
  4. GNDは上下を動かして明暗位置を調整

これだけで撮影準備は完了。
光の向きや構図に合わせて、すぐにフィルター位置を変えられるのがH&Yの強みです。

①アダプターリングをレンズに装着
②ホルダー装着。ネジで止めたりワンタッチで取り付け
③GNDフィルター装着。上下に動かして減光箇所を調整
にゃんころ

セッティングも簡単で、万が一落としても割れにくい素材なので安心です!

角型フィルターで描く作品例

角型フィルターを使うと、光と時間を自在にコントロールできます。
ここでは、NDとGNDを組み合わせた実際の作例を通して、風景がどのように変わるのかを見ていきましょう。

①GND単体

リバースGND1.2を使用。水平線付近の太陽の光をやわらげ、空と海の明るさをバランスよく整えました。夕焼けのグラデーションがしっかり残り、穏やかで深みのある色調に仕上がっています。

②GND+ND

ソフトGND0.9を使用し、太陽の位置に合わせて斜めに調整。空の明るさを自然に抑えました。強い風に揺れる波をND1000で30秒露光し、穏やかな水面に変えました。荒れた湖が静寂に変わる、その瞬間を閉じ込めた一枚です。

③GND+ND2枚

ソフトGND0.9で朝焼けの光量を抑え、ND1000+ND8を組み合わせて3分間の長秒露光。
雲の流れと水面の静けさを同時に描き、角型フィルターならではの表現を実現しました

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角型フィルターは“撮影資産”になる

角型フィルターの魅力は、一度導入すれば長く使い続けられること。
レンズを買い替えてもアダプターを変えるだけで対応でき、ND・GNDの組み合わせを自在に変えながら、どんな光にも対応できる撮影資産になります。

にゃんころ

風景の完成度を上げたい人にとって、角型フィルターは“次のステップ”です!

まとめ

角型フィルターは、GNDで光を整え、NDで時間を描くことで風景写真を作品へと変える表現ツール。

H&Y Filterは、精度・操作性・信頼性のバランスが高く、これから本格的なフィルターワークを始めたい人に最適です。