「天空の城」として知られる竹田城跡は、秋から冬の早朝にかけて雲海に包まれることで有名です。
まるで空に浮かんでいるような光景を撮影するなら、対岸にある「立雲峡(りつうんきょう)」がベストスポット。
この記事では、実際に2025年10月27日に撮影した際の気象条件・行き方・撮影時間の目安・使用機材を詳しく紹介します。
これから竹田城跡の雲海を狙う方に向けた実践ガイドです。
竹田城跡の雲海が発生しやすい条件
竹田城跡の雲海が見られるのは、1年の中でも限られた季節と気象条件が揃ったときだけです。
「天空の城」と呼ばれるあの幻想的な姿に出会うには、次のポイントを意識してみてください。
✅前日〜2〜3日以内に雨が降っている
地面や谷筋に湿気が残っていることが大切。雨で十分に湿度が高まったあとに晴れると、放射冷却で霧が発生しやすくなります。
✅当日の夜から朝にかけて晴れている
夜間に放射冷却が起こることで、湿った空気が冷やされ、霧(=雲海)になります。
✅朝と昼の気温差が8〜10℃前後ある
気温差が大きいほど、朝方の冷え込みで空気中の水蒸気が凝結しやすくなります。
✅風が弱い(風速1m前後〜無風が理想)
風が強いと霧が流されてしまうため、穏やかな風の朝がチャンスです。
撮影当日の10月27日は、前日が雨、当日は快晴。
朝の気温は約12℃、前日との気温差は約9℃で、ほぼ無風。
まさに理想的な条件が揃い、日の出後には竹田城跡を包み込むように雲がゆっくりと広がっていきました。

撮影スポット:立雲峡テラスの行き方
雲海越しに竹田城跡を見下ろす定番スポットが立雲峡です。
駐車場から登山口まではすぐで、登山道を登ること約30〜40分。
前半はなだらかですが、後半は階段が続くため、動きやすい服装と軽装備で挑みましょう。
撮影は早朝5時ごろの登山開始がおすすめ。
6時15分ごろに朝日が昇り、7時前後には雲海が最も美しく広がります。
駐車場は広く、夜明け前でも安心して停められます。
雲海の発生タイミングと撮影時間の目安
登山を始めたのは5:00。登頂時点(5:40頃)では、まだ雲がほとんどなく不安な状況。
しかし、6:45頃から徐々に雲が発生してきました。

さらに7:00を過ぎると竹田城跡を飲み込むほどの大雲海が発生しました。

朝日の光が差し込み始め、雲が金色に染まる瞬間はまさに幻想的。
時間ごとの雲の変化を追うだけでも、立雲峡が人気の理由がわかります。
使用レンズと構図のポイント
使用レンズ:FE 70-200mm F2.8 GM II
竹田城跡の雲海撮影では、50mmだと手前の木々が入りやすく、やや広すぎる印象。
70〜150mm付近を使うと、城跡と雲のバランスが最も美しくまとまります。
今回は初挑戦だったため正面から撮影しましたが、左斜め方向からだと竹田城跡の背後も写り、立体感ある構図にできそうです。
雲の流れを写すNDフィルター
静止した雲海も魅力的ですが、NDフィルターを使った長秒露光で雲の流れを表現すると、
一気に“天空の城”の幻想感が増します。
今回の撮影では、ND64とND1000を使い分けて、
雲がゆっくり竹田城跡を包み込むようすを撮影しました。
NDを使うことで、わずか数分の変化を一枚に凝縮できます。
▪️夜明け直後の光が差し込むまで→ND64で15秒くらい
▪️明るくなってから→ND1000で15秒くらい
▪️さらに長秒露光で撮影→ND1000とND8の組み合わせで80秒くらい


竹田城跡 立雲峡からの雲海作例

▪️撮影設定:102秒 F13 ISO100 焦点距離200mm

▪️撮影設定:20秒 F14 ISO100 焦点距離70mm

▪️撮影設定:15秒 F11 ISO100 焦点距離126mm(トリミング)

▪️撮影設定:1/80秒 F11 ISO100 焦点距離70mm
使用した機材
👉 この作例で使用したレンズの実写レビューはこちら
まとめ|立雲峡で“天空の城”を撮るために
立雲峡は、竹田城跡の雲海を撮影するうえで外せないスポットです。
登山には30〜40分ほどかかりますが、その先で待つ景色は圧倒的。
気温差・天気・時間帯を見極め、NDフィルターを使いこなせば、
まるで空に浮かぶような“天空の城”を自分のカメラで再現できます。



