【作例で解説】長時間露光とは?撮影設定やシーンごとのNDフィルターの選び方、30秒以上の撮り方まで
こんにちは、趣味で写真を楽しむカメラ専門店のにゃんころです!
滝が白糸のように流れる写真、車のライトがレーザーのように伸びる写真など
そんな印象的な写真を撮ってみたいけど「どうやって撮るの?」「設定がわからない…」と悩んでいませんか?
こうした写真は「長時間露光(スローシャッター)」という撮影方法を使えば、意外とかんたんに撮ることができます。
ちょっとした設定のコツとNDフィルターを使うだけで、肉眼では見られない幻想的な写真が撮れるようになります!
この記事では、普段から長時間露光で幻想的な風景を撮り続けているにゃんころが、次の内容をわかりやすく解説します。
✅長時間露光におすすめのシーンと設定例&ND目安
✅必要なアイテム
✅長時間露光の基本設定と撮影方法
✅30秒以上の露光で幻想的な写真を撮る方法
長時間露光を理解すると、こんな幻想的な風景も撮れるようになりますよ!

長時間露光とは?

長時間露光とは、シャッタースピードを数秒〜数分に設定して撮影する方法です。
1/100秒前後では止まって写るものが、長時間露光では「流れる」「残像が線になる」といった独特の表現に変わります。
上の作例では、25秒で撮影して雲の流れを表現したもの。

静止画の中に動きをつけることでメリハリのある独特な写真に仕上がるのが長時間露光(スローシャッター)の魅力です!
長時間露光がおすすめのシーン (作例+設定例)
長時間露光はシーンごとにまったく違う表現を生みます。
▪️滝や川 … 流れる水が絹の布のように柔らかく写る
▪️夜景 … 車のライトが一本の光跡となり、街全体が動いているように見える
▪️雲や水面 … ざわついた波や雲が、幻想的で滑らかな質感に変わる
▪️星景 … 星の軌跡や天の川をダイナミックに描ける

どれも肉眼では見られない世界。だからこそ、撮ってみると普通の風景がワンランク上の写真に感じられるはず!
滝
滝は長時間露光の代表的な被写体の1つ。
スローシャッターで撮影すると、水の流れがシルクのように美しく切り取ることができます。暗い森林の中であればNDフィルターなしでもF値を絞れば1秒くらいで撮影可能です。

車の光跡
数秒から数十秒で撮影すると、車のライトをレーザーのように映し出すことが可能です。ジャンクションやビルなどと合わせることでカッコいい写真が撮れます。
比較明合成をするならNDフィルターなしでもOK。1枚撮りならND64を使えばいろんな方向からのレーザーを捉えられます。

雲海
雲が少しずつ移動していく雲海は長時間露光がしやすいシーンです。
20秒くらいで撮影すれば雲の動きが軌跡となり幻想的な1枚に仕上がります。

リフレクション
20秒ほどで撮影すれば水面がフラットとなり、よりリフレクションを強調することが可能です。
特に風がやや強く、普通に撮ったら綺麗にリフレクションしないシーンで活躍する手法です。

星景
天の川や星々を入れた星景写真では20-30秒くらいの速度で撮影をしていきます。
その中でもスタートレイル(星の軌跡)は長時間露光ならではの被写体です。30秒という時間の中で動いた星の軌跡を繋げて1枚の写真に仕上げるもの。

人を消す
人が密集しているような場所でも、10秒から30秒くらいで撮影すると人の気配を消すことができます。
時間によっては残像に留めたりもできるので、シャッタースピードを調整して自分好みの写真にしてみましょう。ただし、場所によっては三脚禁止だったり、観光客等の邪魔になる可能性もあるので注意が必要です。

長時間露光の事前知識

普通の写真とは一味違う「長時間露光」ですが、いくつか事前に知っておくべきことがあるので解説していきます。
①必要な機材について
②シーンごとのシャッタースピードの目安
必要な機材

私が普段使っている必須アイテムはこの3つです。
✔︎三脚
✔︎NDフィルター
✔︎レリーズ
あと、機材ではないですがシャッタースピードの計算をする際に便利なアプリがあるので事前にダウンロードしておきましょう。
三脚
三脚は必須です。
数秒から長いと3分ほどシャッターを開けるため、三脚がないとブレてしまいます。
基本的にはどんな三脚でも大丈夫ですが、脚が細すぎると風でブレたりするため選ぶ際は注意してください。最低でも脚径22mm以上のものにしておきましょう!実際に私が以前使っていた三脚も紹介しておきます。
より安定性を求めるならこちらがおすすめです。現在私がメインで使用している三脚です。
NDフィルター
NDフィルターはサングラスのような役割で、光の量を減らしてくれるアイテムです。
日中にシャッタースピードを遅くする場合は、NDフィルターがないと真っ白な写真になってしまいます。夜間はなくてもOKな場合が多いです。
NDフィルターの詳細は、【初心者向け】NDフィルターとは?効果・使い方・選び方まとめで解説しています。
NDフィルターは濃度(減光度合い)によって複数ありますが、基本的にはND8かND64があれば数秒程度の露光が可能です。
日中に絞り開放や、数分間の露光をする場合はさらにND1000が必要です。
レリーズ
長時間露光の際、シャッターボタンを押した時の振動でブレた写真になってしまう可能性があります。
そのため、撮影する際はレリーズ(リモートコントローラー)を使ってシャッターを切りましょう。
レリーズがない場合は、カメラのタイマーを2秒や5秒に設定して撮影すればOKです。ただし花火撮影などではレリーズがないとタイミングがズレるので注意してください。
ソニーの場合はこちらを持っておけばOK!(実際に私も使っています)

三脚とNDフィルターさえあれば、ほとんどのシーンで挑戦できます!
シーンごとの長時間露光・目安シャッタースピード
私がよく撮っていて「これくらいがちょうどいい」と感じているシャッタースピードとND濃度の目安をまとめました。
撮りたいシーンに合わせて目安を知っておくだけで失敗が少なくなりますよ!ブックマークしていつでも見れるようにしておきましょう。
| シーン | 目安SS | 設定例 | ポイント |
| 滝・川の流れ | 0.5〜2秒 | 1秒 / F8 / ISO100 / ND8 | 水が柔らかく流れる。長すぎると白く潰れるので1秒前後が自然。 |
| 車の光跡(複数枚合成) | 5〜10秒 | 8秒 / F11 / ISO100 / NDなし | 複数枚撮影して、比較明合成して光線を重ねる |
| 車の光跡(1枚撮り) | 30秒〜60秒 | 60秒 / F11 / ISO100 / ND8 or 64 | ライトが線になり、都市の躍動感を表現。F値を絞ると光条も出る。 |
| 雲海 | 10〜20秒 | 20秒 / F8 / ISO100 / ND64 | 雲に動きがついて躍動感ある雲海になる |
| 水面リフレクション | 20〜30秒 | 25秒 / F8 / ISO100 / ND64 or ND1000 | 水面の揺れが消えて鏡のように。日中は高濃度NDが必要 |
| 天の川 | 10〜20秒 | 15秒 / F1.8 / ISO3200 / NDなし | F2.8以下のレンズでノイズを下げるのがポイント |
| スタートレイル | 30秒 | 30秒/ F8 / ISO100 / NDなし | インターバル撮影で60-100枚を比較明合成する |
| 雲の流れ | 60〜180秒 | 120秒 / F11 / ISO100 / ND1000やND8000以上 | 雲全体が動いて幻想的に。3分程度かけると肉眼では見えない世界に。 |
特に2分前後の長時間露光をすると、現実とは思えないような作品が出来上がります!

長時間露光の撮影方法と設定

必須アイテムとシーンごとのおおよその設定目安を確認したら、次は実際にどのような手順で撮影していくのかを解説していきます。
長時間露光は難しい印象を持たれることが多いですが、NDフィルターと三脚を使う以外は特に変わった操作は必要ありません。
設定と撮影方法に分けて解説していきます。
機材設定
以下2点を事前に設定しておきましょう。
✔︎手ブレ補正をオフ
→オンの状態で三脚で撮影すると、逆にブレる。
✔︎長秒時ノイズ低減をオフ
→オンにすると撮影時間分ノイズ処理が入る(2分でシャッター切ると、その後さらに2分掛かる)。撮影間隔が伸びるのでオフ推奨。
撮影方法
一般的な風景撮影とほぼ同じなのでそこまで難しくありません。
ただし、細かな露出の調整などが必要になる場合があるので、マニュアルモードや露出の考え方を知っておいた方がいいです。
マニュアルモードと露出の考え方はマニュアルモード入門|初心者が知っておくべき設定と撮影法で解説しています。
① 構図を決める
三脚にカメラをセットして画角を決めます。
② NDは使わず、適正露出に合わせる
まずはいつも通り露出を合わせましょう。
あとで露出を微調整することになるのでマニュアルモードにしておきます。ほか設定は以下を参考にしてみてください。
F値:8-11
ISO:100-200
シャッタースピード:適正露出に合うようにする
③ ピントを合わせる
このあとNDフィルターを装着しますが、特に高濃度NDフィルター装着後は画面が暗くなりピント合わせが難しくなります。
そのため、この段階で事前にピントを合わせておき、MFに切り替えましょう。ND8程度なら装着後もAF動作すると思うので、この項目は無視してもらって大丈夫です。

MFに切り替えないと、ND装着後にAFが迷ってピント位置がおかしくなります。ND1000など高濃度フィルターを使う場合は事前にピントを固定し必ずMFに切り替えましょう!
④ シャッタースピードの計算と露出の微調整
長時間露光において、ここが一番難しいところです。とはいえ、先に紹介したアプリを使えば簡単に計算ができます。
元の露出が以下の場合で考えてみましょう。
F8 1/30秒 ISO200
ここからシャッタースピードを20秒にしたい場合、ND濃度はどうすればいいかはアプリでカンタンに確認できます。

ND500(もしくはND8xND64)を使えば1/30秒→17秒にすることができますね。厳密に20秒にしたい場合は元のシャッタースピードを変更してみましょう。1/25秒であればND500でちょうど20秒にできます。
さて、ここで露出の考え方が必要になります。1/30秒→1/25秒になったため元の露出より1/3段明るくなりました。
元の露出に戻したい場合、F値かISOを同じく1/3段分暗くする必要があります。どちらかを1/3段暗くして、明るさを相殺するイメージです。
F8→F9にする(1/3段暗くなる)
or
ISO200→ISO160 (1/3段暗くなる)

実際は1/3段程度ならそこまで露出に大きな影響がないので無視してそのまま撮影してもOK!ただ、露出の決め方を知っておくと色々便利ですよ!
⑤NDフィルターを装着してシャッターを切る
選んだNDフィルターを装着して、希望のシャッタースピードに合わせましょう。
30秒以上で撮影する場合はバルブモードに切り替えてください。SONYならダイヤルを動かしていけば、30秒の次がバルブになります。機種によっては撮影モードにB(バルブ)モードがあると思います。
高濃度フィルターを使う場合は、シャッターを切る前にMFにしておきましょう!
最後にレリーズかタイマーでシャッターを切れば完了!

慣れてしまえばアプリを使わなくてもどのNDを使えばいいかわかってきますよ!
30秒以上の長時間露光
一般的な長時間露光(スローシャッター)は数秒から長くても30秒くらいまでですが、
2〜3分露光することで肉眼では見られないような幻想的な写真にすることができます。
撮影方法自体はこれまで紹介してきたものと同じですが、ND8000やND64000が必要になるため複数のNDフィルターを揃える必要があります。


雲がやや多めのマジックアワーでおすすめの撮影方法です。まずは204秒を基準に撮影してみましょう!(1/40秒に対してND8000を使う)
流れる雲の躍動感に感動するはずです。
このような長時間露光を駆使した撮影方法は【風景写真が劇的に変わる!】マジックアワー×長秒露光で描くドラマチックな風景写真テクニックで紹介しています。

何気ない景色が想像できないような写真に仕上がったりします!
まとめ|長時間露光でワンランク上の撮影体験を
長時間露光は「時間を写す」という特別な表現方法です。
僕自身も、最初に滝を撮ったときの衝撃でハマり、その後はマジックアワーへと表現が広がりました。
三脚とNDフィルターさえあれば誰でも挑戦できるので、ぜひ一度試してみてください。
普段の風景が一気に作品へと変わる体験になるはずです!
