写真・撮影テクニック

紅葉の撮り方|中望遠レンズで描く静寂の秋景色|135mmと70-200mmの作例と設定解説

中望遠レンズで撮影した紅葉撮影記事

紅葉といえば広角で撮る印象が強いですが、実は中望遠レンズこそ“静けさ”を描くのに向いています。
背景を整理し、光と色の層を丁寧に重ねることで、紅葉の奥行きや深みをしっかり表現できます。

今回は135mm単焦点と70-200mm F2.8ズームの2本を使い、京都の紅葉を静かに切り取った作例とともに撮り方や設定を紹介します。

中望遠レンズで撮る紅葉の魅力と特徴

中望遠ズームと中望遠単焦点の外観写真。SEL70200GM2とSEL135F18GM

紅葉撮影で中望遠レンズを使うと、広角では得られない“立体感”と“静けさ”を描くことができます。
圧縮効果によって奥の紅葉が近くに引き寄せられ、層のように重なって見えるのが特徴です。

▪️圧縮効果で紅葉の層を重ね、奥行きのある構図を作れる

▪️背景を整理して、余計な要素を排除できる

▪️枝の先端や玉ボケなど、細部の美しさを強調できる

▪️ズームなら構図の自由度、単焦点ならボケ描写の極みを狙える

中望遠は“静寂を写すレンズ”。喧騒を感じさせない落ち着いた紅葉写真を撮りたい人にぴったりの焦点域です。

作例で見る紅葉の撮り方|135mmと70-200mmの違いと比較

135mmで描く“静寂の紅葉”

単焦点ならではの描写力と大きなボケを活かして、背景を整理しながら紅葉の色と光を丁寧に描きます。
花を撮るような感覚で主題を探すと、繊細な空気感を表現できます。

玉ボケで包む秋色の光

朝露の雫が残る苔の上に、静かに落ちた一枚の紅葉。
前後の光が反射して玉ボケが散り、画面全体がやわらかな光に包まれました。

絞りをやや絞ることで、玉ボケの形を整えながら背景の滲みをコントロール。
135mmという中望遠単焦点ならではの浅い被写界と高い解像力が、主題を浮かび上がらせます。紅葉の赤というより、“光が描く静寂”を写し取った一枚です。

135mm単焦点で撮影した紅葉。前ボケ、背景ボケ、玉ボケ
▪️撮影機材:α7C / FE 135mm F1.8 GM 
▪️撮影設定:1/1000秒 F2.5 ISO100 焦点距離135mm
にゃんころ

135mmは“溶けるような静けさ”を描くレンズ。背景をぼかし、主題だけを残す構図に最も向いています!

70-200mmで描く“奥行きの紅葉”

ズームレンズは、焦点距離を変えながら紅葉の表現をコントロールできるのが魅力です。
単焦点のような極端なボケではなく、風景と主題のバランスを保ちながら奥行きを描けるのが特徴です。

参道を包む光明寺の紅葉(70mm)

焦点距離70mmで撮影。単焦点とは異なり、ズームレンズならではの構図の自由度を活かし、紅葉を“風景として”切り取りました。

参道の奥まで続く紅葉のトンネルを、ほどよい圧縮効果で描くことで、奥行きと静けさを両立。広角よりも整理された構図で、目に入る情報量をコントロールできるのが中望遠ズームの魅力です。

このような参道では、紅葉満開時より少し後の敷紅葉が狙い目

70-200mmで撮影した紅葉風景。
▪️撮影機材:α7RV / FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
▪️撮影設定:1/160秒 F6.3 ISO100 焦点距離70mm

紅葉のクローズアップ(200mm)

先ほどと同じ撮影場所で、焦点距離200mmで撮影。主題の紅葉を際立たせつつ、背景をふんわりとぼかしています。
ボケの量は135mm F1.8ほどではないものの、被写体との距離を調整することで背景をきれいに溶かせます。

風景も撮りつつ、”花を撮るような視点で紅葉を捉える”のがこのレンズの得意分野
ズームで微調整しながら構図を整えられるため、撮影テンポも自然に保てます。

70-200mmの200mm開放で撮影した紅葉写真。
▪️撮影機材:α7RV / FE 70-200mm F2.8 GM OSS II
▪️撮影設定:1/80秒 F2.8 ISO100 焦点距離200mm
にゃんころ

70-200mmは、描写と構図のバランスに優れた中望遠ズーム。135mmのような“一点に集中した静けさ”に対し、“距離を探りながら構図で静けさを描く”ことができます!

使用レンズ

FE 135mm F1.8 GM

ボケ描写と解像感を両立した中望遠の代表格。
紅葉の枝や玉ボケを“作品”として切り取るには、この1本が理想的です。


👉 FE 135mm F1.8 GM レビュー記事はこちら

FE 70-200mm F2.8 GM OSS II

ズーム域全体でキレとボケを両立し、紅葉の圧縮構図を自在に描ける。
軽量化された設計で、長時間の撮影でも扱いやすいのが特徴です。


👉 FE 70-200mm F2.8 GM II レビュー記事はこちら(後日投稿予定)

紅葉撮影の設定と撮り方のポイント

中望遠レンズを使うときは、背景と主題の距離感が画作りの鍵になります。
光の方向や絞り値を意識して、立体感と色の深みを出していきましょう。

▪️絞り優先モードでF1.8〜F4を中心に

▪️主題との距離感を調整し、背景を整理

▪️木漏れ日や朝露などで玉ボケを狙う

▪️露出はマイナス補正で紅葉の深みを出す

にゃんころ

逆光で透ける葉を狙うと、色のグラデーションがより際立ちます。光の向きは撮影前に必ずチェックを!

まとめ|中望遠で描く紅葉の奥行きと静けさ

中望遠レンズは、紅葉の“静けさ”と“奥行き”を描くのに最適な焦点域。
135mmで背景を溶かし込み、70-200mmで圧縮効果を活かす——
どちらも、光と距離のバランスで秋の深まりを美しく表現できます。

紅葉を“風景”としてではなく、“光と時間”として切り取る。
そんな静かな撮影時間を、中望遠レンズで味わってみてください。

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