写真や動画で「もっと表現の幅を広げたい」と思ったことはありませんか?
滝や川の流れを滑らかに撮りたい、日中でも背景を大きくボカしたい──そんなときに活躍するのが NDフィルター です。
この記事では初心者の方にもわかりやすくNDフィルターの効果や使い方、選び方を解説します。
✅NDフィルターの基本
✅滝や川を滑らかに撮る方法
✅日中でも開放F値で撮れるポートレートの撮影法
✅動画撮影で映画のような自然な動きを得る方法
✅初心者でも失敗しないフィルターの選び方
上記の悩みがある人はぜひチェックしてみてください!
NDフィルターとは?

NDフィルターは、光の量だけを減らすフィルターです。色味には影響を与えず、カメラに入る光をコントロールできます。
イメージとしては「カメラ用のサングラス」。明るいシーンでも表現の幅を広げられるのが特徴です。
フィルターを使うとどう変わる?
NDフィルターを使うかどうかで、写真の仕上がりは大きく変わります。
▪️滝を滑らかにしたい
この場合NDフィルターがあると、簡単に撮影することができます!


NDフィルターなし
F16〜22まで絞ればある程度は遅くできるが、絞りすぎは画質劣化の原因に。
NDフィルターあり
F値を抑えつつシャッタースピードをしっかり遅くでき、より高画質で表現可能。
なぜNDフィルターが必要?
「ISOやシャッタースピードを調整すればいいのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし実際には限界があります。
ISOを最小にして、絞りをF16-22まで絞っても、真昼の屋外ではシャッター速度1/4000秒や1/8000秒でも露出オーバーになることがあります。
スローシャッターで滝や川を撮る、日中でも背景をとろけるようにボカす──こうした表現はNDフィルターがなければできない場合も。
動画では「フレームレートの2倍のシャッタースピード」が基本です。
30fpsなら1/60秒、60fpsなら1/125秒。しかし日中の明るさでは、このシャッタースピードでは露出オーバーになるため、動画撮影ではNDフィルターが欠かせません。
ND4・ND8などの「数字の意味」とストップ換算
NDフィルターの数字は「どれだけ光を減らすか」を示しています。
- ND2 → 光を1/2に=1段(1 stop)減光
- ND4 → 光を1/4に=2段
- ND8 → 光を1/8に=3段
…という具合に、数字が大きくなるほど減光量が大きくなります。
クイック換算表
表示(倍率) | 何段(stop)減光 | 光学濃度(OD) | 露光の例(基準1/125秒) |
---|---|---|---|
ND2 | 1段 | ND0.3 | 約1/60秒 |
ND4 | 2段 | ND0.6 | 約1/30秒 |
ND8 | 3段 | ND0.9 | 約1/15秒 |
ND16 | 4段 | ND1.2 | 約1/8秒 |
ND64 | 6段 | ND1.8 | 約1/2秒 |
ND1000 | 10段 | ND3.0 | 約8秒 |
「ストップ(段)」の概念は露出の基本知識にも直結します。詳しくは以下の記事で解説しています!
NDフィルターの使い方(シーン別ステップ)
シーン別のNDフィルターの基本的な使用方法について説明します。みなさんの撮影シーンに合わせて参考にしてみてください!
① 長秒露光をしたいとき(滝・川・雲など)
滝や雲の動きを表現したいときは次のようにセッティングしましょう!
- 三脚を準備する(必須)
- フィルターなしで構図・ピントを決める・適正露出を決定
- ピントを固定(MFに切り替え/NDつけるとAF合わせづらい)
- NDを選ぶ(例:ND8で滝、ND1000で昼の長秒)
- 装着して露出調整(シャッタースピードを遅くしていく)
- セルフタイマーやリモコンで撮影
滝をシルクのように流したい⇨1/2〜2秒くらいが目安
水面をフラットにしたい⇨20秒〜30秒
雲に動きをつけたい⇨30秒〜1分(雲の速さによる)
② 日中に開放F値で撮影したい(ポートレート)
使ってるカメラのスペックによっては、シャッタースピードが足りず解放1.4付近で撮影すると白飛びしてしまうことも。そのときはNDフィルターを使って露出を適正にすれば、日中でも大きなボケを楽しむことができます!
- NDを装着(強い光を抑える)
- 絞り優先モード(A)で開放F値にする
- ISOを最低にして露出を確認
- 手持ちで撮影(※三脚不要)
シャッタースピードだけで調整できるならNDは不要です!
③ 動画撮影でシャッタースピードを合わせたいとき
- フレームレートを確認(例:30fps → 1/60秒)
- NDを装着
- 可変NDで光量を調整
- 撮影開始(自然な動きに仕上がる)
動画撮影時は基本シャッタースピードは固定のため、露出の変化は可変NDで対応した方が簡単です!
NDフィルターの濃度と選び方
ND値 | 減光量 | 主な用途 |
---|---|---|
ND2 | 1段分 | 軽い露光調整 |
ND4 | 2段分 | 日中ポートレート |
ND8 | 3段分 | 滝や川の流れを表現 |
ND16 | 4段分 | 雲や水流をなめらかに |
ND64 | 6段分 | 明るい海や昼間の長秒露光 |
ND1000 | 10段 | 真昼の長秒露光(数分〜) |
初心者には ND8かND16 が使いやすいです。慣れてきたらND64やND1000を揃えると幅広い表現に対応できます。
可変NDフィルターであれば、1枚でND2〜400まで対応していたります。
まとめ
NDフィルターは、ただ明るさを調整するための道具ではなく、写真や動画の表現力を飛躍的に広げるアイテムです。
- 滝や川を幻想的に
- 日中でも大きなボケを活かしたポートレート
- 動画の自然なシャッタースピード制御
これらはすべてNDフィルターがあって初めて可能になります。
次の記事では、空と地面の明暗差を整える GNDフィルター を解説します。NDと組み合わせれば、風景撮影の表現はさらに広がりますよ!