京都の紅葉シーズン。
東福寺のすぐそばにある今熊野観音寺は、静かで落ち着いた時間が流れる場所です。
観光地の喧騒から離れ、階段に積もった落ち葉や木漏れ日に照らされた紅葉をゆっくり撮ることができました。
今回の撮影では、SONY FE 50mm F1.4 GM (SEL50F14GM)の1本を持って歩きました。
ズームのない単焦点だからこそ、“自分が動いて構図を作る”感覚が楽しい。
見たままの距離感で切り取る、紅葉の静けさをテーマにしています。
人の目で見る距離感をそのまま写す──50mm単焦点で歩く紅葉の京都

50mmの画角は、人の視野に最も近いと言われます。
紅葉を見上げたとき、階段に落ちた葉を見つけたとき、
自分の目で感じた距離感をそのまま写真にできるのがこの焦点距離の魅力。
ズームに頼らず、自分が前後に動きながら構図を探す。
その過程で、「どう切り取れば伝わるか」を自然と考えるようになります。
この“考えながら歩く撮影”が、単焦点で紅葉を撮る一番の楽しさです。
今熊野観音寺で見つけた、紅葉の静けさを切り取る視点
今熊野観音寺は、東福寺からほど近いのに、驚くほど静かな場所でした。
ここでは3つのシーンから、50mm単焦点で切り取った“紅葉の静けさ”を紹介します。
地面に落ちている紅葉──開放で描く柔らかなボケ
参道の脇に、ひっそりと積もる紅葉。
開放F1.4で撮ると、背景がふんわりと溶けていきます。
赤い葉の形が残りながらも、光の粒が柔らかく漂うような描写。
人の気配がない静かな朝、この一枚に“秋の名残”を感じました。



木漏れ日に浮かぶ紅葉──日常の一瞬を見逃さない距離感
50mmで歩いていると、視界の端にふと入る光が気になります。
木漏れ日に照らされた紅葉の葉を、そっと見上げながら切り取る。
ズームがない分、自分の位置を微調整して光の角度を探す感覚が心地いい。
“撮る”というより、“見つける”スナップに近い体験です。



紅葉の並木と仏像の佇まい──静かな境内で見つけた秋の光
本堂へと続く参道には、柔らかな光が差し込み、紅葉の枝が穏やかに揺れていました。
両脇の並木と石畳のリズムを活かしながら、50mmの自然な距離感で奥行きを構成。

境内の一角に佇む仏像。その背後には、柔らかな光を受けた紅葉が静かに色づいていました。
50mmの自然な距離感で構えると、仏像の穏やかな表情と背景の紅葉がちょうどよく調和します。


50mm単焦点で紅葉を撮るコツ
ズームせず“動く”ことで構図を決める
単焦点で撮る最大のポイントは「自分が動く」こと。
距離を詰めたり下から構えたりすることで、構図のバリエーションが一気に増えます。
紅葉の密度や枝ぶりを観察しながら、少しずつ動いてバランスを探しましょう。
開放F値を活かして、背景を思い切って飛ばす
紅葉撮影では、背景の情報が多くなりがちです。
F1.4〜2.0の開放で撮ると、主題の紅葉だけを浮かび上がらせるような描写が可能。
“ボケすぎ”を恐れず、思い切って背景を飛ばしてみるのもおすすめです。
曇りの日や木陰ではホワイトバランスを暖色寄りに
曇りや木陰では紅葉がやや冷たく見えます。
ホワイトバランスを5000〜5500K前後に設定し、少し暖かい色味を加えるとしっとりしたトーンになります。
“しっとり京都の秋”を表現したいときに最適です。
使用した機材
👉 この作例で使用したレンズの実写レビューはこちら
[FE 50mm F1.4 GM レビュー|紅葉スナップで感じた描写力]
まとめ|“単焦点一本で歩く紅葉”という贅沢
ズームが使えないからこそ、光と構図を探す時間が生まれます。
自分の足で動いて構図を決め、背景を整理し、光を選ぶ。
それが単焦点の撮影体験であり、写真に“自分の目線”が宿る瞬間です。
観光地の喧騒を離れ、静かな紅葉を撮るなら、50mm単焦点一本で十分。
ゆっくり歩きながら、光の変化を感じる時間を楽しんでみてください。



