写真・撮影テクニック

初心者でも花をもっと綺麗に撮れる!劇的に変わる10のコツ

「花を撮ったけど、なんだか綺麗に撮れない…」
そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。

実は花撮影がうまくいかない原因はシンプルで、ちょっとした工夫とカメラ設定で写真は劇的に変わります。

この記事では、初心者でもすぐに実践できる9つのコツを紹介します。

花撮影が上手くなる10のポイント(一覧)

にゃんころ

これらを意識すれば、同じ花でも写真の完成度は驚くほど変わります!

ここから先では、それぞれのポイントを作例や設定の目安と一緒に深掘り解説していきます。
「なるほど!こう撮ればいいのか」と納得できる内容になっているので、ぜひ最後まで読んでみてください!

1.基本設定を整える(Aモード・開放F値)

花を綺麗に撮るためには、まずカメラの基本設定を整えることが大切です。
ここで紹介する設定をベースにしながら、この後のポイントを実践していきましょう。

▪️撮影モードは Aモード(絞り優先)

▪️絞りは小さい数値(例:F1.8〜F2.8)で背景をぼかす

▪️ISOは100〜400を目安に、状況に応じて調整

モードダイヤルの基本はこちら

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まずは「Aモード × 開放気味」で主役を際立たせることから始めよう!

2.主役を決める

花壇や群生地では「どの花を撮っているのか」が曖昧になりやすいです。
複数をまとめて撮ると賑やかに見える一方で、写真としては散漫になりがち

まずは一輪の花を“主役”にすることから始めましょう。

▪️一番形が整った花

▪️光がきれいに当たっている花

▪️背景とバランスがとりやすい位置の花

▪️1つだけ色や形が違う花

を選ぶと、自然と写真に視線が集まります。

▪️撮影設定:F2.8 焦点距離300mm
▪️撮影機材:α1II / FE 300mm F2.8 GM 
 
周囲よりも背の高いヒヤシンスを主題に。前後をぼかすことで1輪だけが際立って美しい仕上がりになります。
▪️撮影設定:F2 焦点距離150mm
▪️撮影機材:α1II / FE 50-150mm F2 GM 
背景とのバランスが良い花を主役にしています。なるべく背景までの距離があるように主役を選ぶと、綺麗にボケて主役が引き立ちます。

「この花を見せたい!」がハッキリしている写真は、初心者でも伝わりやすい作品になります。

3. ボケを使い分ける

花撮影では「ボケを生かしたい」と思うあまり、つい「ただ背景をぼかすだけ」になっていませんか?
もちろんそれでも綺麗に仕上がりますが、少し工夫するだけで写真の完成度はワンランクアップします!

▪️前ボケ
手前の花や葉をレンズの前に入れると、柔らかな“ボケのカーテン”ができます。額縁効果になり、写真全体がふんわりした印象に。

▪️後ボケ
背景をシンプルに整理することで、主役の花が浮かび上がります。特に枝や葉が入り込むと、たとえボケてもザワついた印象になりがち。

▪️玉ボケ
木漏れ日やイルミネーションなど、点光源を背景に入れると華やかさが増します。撮影中に「光が差し込む場所」を探す習慣をつけると、思わぬ玉ボケを見つけられますよ。

魅力的なボケの作り方はこちら

▪️撮影設定:F1.8 焦点距離135mm
▪️撮影機材:α7RV / FE 135mm F1.8 GM 

木漏れ日による玉ボケ、前ボケ、背景ボケをふんだんに盛り込んだ1枚。

ボケは単なる背景処理ではなく、写真に表情や雰囲気を加えるための工夫です。上手に使い分けることで、花写真がぐっと作品らしく仕上がります。

4. 構図を工夫する

構図は「見せたい花の魅力をどう伝えるか」を決める要素。

▪️日の丸構図
一輪を真ん中に置くと迫力が出る

▪️三分割構図
右下や左下に配置すると自然な奥行きが生まれる

▪️余白
花の周囲に空間を残すと、静けさや余韻を感じさせられる

▪️撮影設定:F2.8 焦点距離300mm
▪️撮影機材:α1II / FE 300mm F2.8 GM 
メインの花を真ん中に配置、対角線上にボケを配置するとバランスが良くなります。
▪️撮影設定:F1.6 焦点距離50mm
▪️撮影機材:α7C / FE 50mm F1.4 GM 
主役を右下に配置し、残りは余白とスッキリした背景にしています。余計なものがないので自然と主役の紅葉に目がいきますよね。
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花を置く位置をちょっと変えるだけで、印象は大きく変わります!

5. 撮影アングルを変える

上から見下ろすと花は平面的に見えてしまいます。アングルを変えてみましょう!

▪️花と同じ高さ:視線を合わせると、自然に立体感と背景ボケが活きてきます。

▪️斜めから狙う:奥行きが生まれ、花が「風景の中に存在している」感じを伝えやすくなります。

上から撮ると、記録写真のように平面的で“ただ綺麗なだけ”の印象になりやすいです。
花と同じ高さに視線を合わせることで、立体感や雰囲気がぐっと引き立ちます。

6. 背景を選ぶ

背景は“主役を引き立てる舞台”です。ごちゃついた背景だと、花が埋もれて存在感がなくなってしまいます。

▪️スッキリした背景→枝や葉っぱが少ない背景を選ぶ

▪️単色背景→ 花の存在が際立つ

▪️同系色背景→特にピンクなどの背景にすると、ふんわりかわいいイメージに。

▪️補色を利用(例:赤い花+緑の背景) → コントラストでインパクト

▪️撮影設定:F2 焦点距離150mm
▪️撮影機材:α1II / FE 50-150mm F2 GM 
背景、前景とも同系色でまとめています。ふんわりかわいい雰囲気に。
▪️撮影設定:F2 焦点距離150mm
▪️撮影機材:α1II / FE 50-150mm F2 GM 
蕾のマゼンダに対して、補色であるグリーンを背景に選んでいます。コントラストが高まり、存在感が引き立ちます。
背景に枝が多いアングルで撮ると、たとえボケていても“ざわついた印象”になり、主役の花が目立たなくなってしまいます。
主役を引き立てるためには、なるべくシンプルな背景を選ぶことが大切です。
にゃんころ

主役を決めても、背景が合わなければ台無しになるので、撮影位置を少し変えてでも背景を整える意識を持ちましょう!

7. 雰囲気を作る

「その写真から何を感じてもらいたいか」を意識しましょう。雰囲気作りには露出補正を使うと簡単です。

▪️明るめに仕上げれば可愛らしく柔らかい印象
 露出補正でプラス側にしてみる

▪️暗めに仕上げれば落ち着きのあるドラマチックな印象
 露出補正でマイナス側にしてみる

露出補正だけでも雰囲気は大きく変わるので、同じ花でも「明るい/暗い」の2パターンを試してみると表現の幅が広がります。

▪️撮影設定:F2 焦点距離150mm
▪️撮影機材:α1II / FE 50-150mm F2 GM 
露出補正-0.7で暗めに撮っています。シックな雰囲気になって薔薇のイメージとマッチしています。
▪️撮影設定:F3.2 焦点距離135mm
▪️撮影機材:α7RV / FE 135mm F1.8 GM 
露出補正+0.7で明るめに撮って、ふんわりしたイメージに仕上げています。

8. レンズで差をつける

中望遠レンズは「花を切り取る専用ツール」と言えるほど便利です。90mmや105mmのマクロレンズ、135mmの単焦点がオススメ!

▪️圧縮効果で背景が整理される

▪️標準レンズよりもボケが大きくなる

▪️遠くの花壇でも主役をしっかり捉えられる

標準ズームで撮るよりも、”主役が際立つ“作品っぽさ”が一気に出せるのが魅力です。

9. 季節・天候を活かす

花撮影は天候や時間帯によっても雰囲気が激変します。

▪️朝露
透明感や爽やかさを演出

▪️夕暮れ(マジックアワー)
逆光でシルエットを浮かべ、ドラマチックに

▪️曇天
柔らかい光で、花の色を忠実に表現

▪️撮影設定:F1.8 焦点距離135mm
▪️撮影機材:α7C/ FE 135mm F1.8 GM 
朝露でしっとりしているコスモスを切り取りました。朝露に反射する朝陽が玉ボケとなって出ていきます。

「今日は曇ってるからやめよう」ではなく、「曇ってるから柔らかい表現ができる」と考えると表現の幅が広がります。

10. ストーリー性を加える

花だけを撮るのも綺麗で良いのですが、それ以上にはなりにくいことも。

▪️蝶や蜂を入れる → 生命感や動きが伝わる

▪️枯れかけの花を入れる → 季節の移ろいを感じさせる

ちょっとした“物語”を添えるだけで、写真の印象は何倍にも膨らみますよ。

▪️撮影設定:F2 焦点距離150mm
▪️撮影機材:α1II/ FE 50-150mm F2 GM 
花蜜をに向かうクマバチの飛翔をとらえたものです。これから蜜を取ろうとするストーリーが感じられます。
▪️撮影設定:F1.8 焦点距離135mm
▪️撮影機材:α1II/ FE 135mm F1.8 GM 
花だけを主役にするのではなくて、蝶々を入れることで一気にイメージが変わります。

まとめ

花を綺麗に撮るためには、主役・構図・アングル・背景・雰囲気・季節感・ストーリーを意識することが大切です。

「なんとなく撮る」から一歩進んで、“何をどう見せたいか”を考えて撮ると、写真は一気に作品に近づきます。

次のお出かけでは、ぜひこの9つのコツを試してみてください。
きっと今までとは違う花写真が撮れるはずです。

関連リンクまとめ

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